背中の痛み
背中の痛みはどこから来るのでしょうか?背中には筋肉があり、肋骨があり、肩甲骨があり、肺と胸膜があり、心臓と大動脈もあります。そのそれぞれに含まれる神経が痛みを起こします。
まずは局所の障害と炎症について考えましょう。運動したり、重いものを持つことで物理的な障害が起きると、局所の神経が痛みを出します。押して痛ければそこに炎症が起こっている可能性があり、湿布やカロナールなどの抗炎症薬が有効であれば、しばらく安静にして炎症が去るのを待ちましょう。
次にウィルスの関与はどうでしょう?インフルエンザではよく関節痛が起きますが、その他のウィルスも神経、筋肉、肺の胸膜、心臓の膜などに炎症をおこして痛みを起こすことがあります。麻黄湯や葛根湯を用いてウィルスに対する免疫を上げるのも有効ですね。
次は血行障害を伴う筋肉痛と神経痛です。筋肉や神経は酸素がこないと怒って、痛みを起こします。パソコンのブルーライトを長時間浴びると自律神経が乱されて、動脈収縮や筋肉の過剰な収縮による血行障害によって神経と筋肉に酸素が供給されない為に痛みをきたします。血行障害には煙草、飲酒、カフェインをはじめ様々な原因がありますが、大きく考えて血液の不足と、動脈の過剰な収縮、心機能の障害を考えます。血圧が高い方は、血管が締まっていることにより局所の血流が低下し、血圧の高さは心臓の機能低下を引き起こしますので、ダブルで神経への酸素供給を減らします。血圧が高い方は降圧し、EPAなどで血管内皮を安定させて末梢動脈を拡張して血行を改善させることが有効です。血液の足りない方は体の隅の指先や足先の血行を犠牲にすることにより脳や内臓への血流を維持しようとしますので、背中の血流が犠牲にされると痛みの原因になりますね。血液が足りない原因はいろいろありますが、まずは出血や鉄欠乏による赤血球の減少です。生理出血、大腸ポリープや胃潰瘍などで出血して血液の量が減る貧血状態になります。鉄が血液を作る基本ですので、鉄を含む赤身の肉、シラス、レバー、緑の野菜を摂取しましょう。次に血液の残り半分は血漿と呼ばれる体液です。タンパク、塩分、ミネラル、水分、糖質などがこの血漿を作っています。魚お肉大豆をとってタンパクを増やし、味噌汁、スープ、スポーツドリンクを摂取しましょう。一時的な体液の減少は一般的には脱水と呼ばれ、飲酒、コーヒー、利尿剤、炎天下、スポーツ、サウナ、入浴、塩分の控えすぎ、食事摂取不良などによって引き起こされます。なら水を飲めばいいんですねとおっしゃる方が多いのですが、水だけ飲んでもすぐに尿になって出てしまいますので、塩分、カリウム、マグネシウム、糖質を一緒に取る必要があります。体液を増やすためには葛根湯、補中益気湯や人参養栄湯などが有効です。
神経に必要なビタミンは豚肉の赤身に含まれるビタミンB、緑の野菜に含まれる葉酸、などです。かつて日露戦争で亡くなった兵隊さんの1/3の死因はこのビタミン不足による神経障害と心不全をきたす脚気と言われています。当時は作家でもある森鴎外医師が陸軍の健康を管理していましたが、残念ながらビタミンという知識が乏しく、白米だけ食べて豚肉と野菜が乏しかったことが原因です。現代では飲酒量の多い方でこの脚気の傾向の方がいらっしゃいます。
自律神経が興奮すると、血管収縮を介して神経痛は起こりやすくなります。ストレスからの回避と十分な睡眠は大事で、必要に応じて安定剤、睡眠薬を利用しましょう。
痛風の症状として背中の痛くなるかたもいらっしゃいます。尿酸を管理して、激しい痛みにはコルヒチンによる白血球の抑制とロキソニンなどの抗炎症薬が必要です。
他の大きな病気としては、大動脈が裂ける大動脈解離、心筋梗塞、肺塞栓なども背中の痛みをきたしますので注意が必要です。
まとめ 背中の痛みでは炎症による痛み、血行障害による神経痛などを原因と考えます。まずタバコ、飲酒、カフェイン、ブルーライト、ストレスを控えて、スポーツドリンク、味噌汁、スープ、野菜ジュース、豆腐をとりましょう。改善しない激しい痛みでは受診しましょう。(爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋 2026/2)

