失神 意識消失 気が遠くなる
気を失うのは、意識を保っている脳の活動がお休みしていることを意味します。
脳の活動は、脳の電気的信号の活動を意味していて、これを支えているのは脳血流による酸素供給です。脳の血流は脳血管、次に脳と全身の血流は心臓の活動が支えています。またてんかんのように電気的な異常活動によって脳活動が止まる場合もあります。
まず脳血流を局所的に止めるのは、脳血管の血流をふさぐ血栓や脳血管の攣縮による血行障害です。頸動脈や心臓から流れてくる血栓が脳血管をふさいで脳血流が低下することもあります。全身の循環障害が原因の場合はどうでしょうか?まず収縮期血圧が70以下に低下すると脳血流が保てずに失神することがあります。外的要因としては炎天下、運動、飲酒、サウナ、入浴などにより血管床が拡張し、血液量が低下すると循環虚脱による失神が起こりやすくなります。降圧剤を内服し、飲酒をする方には起こりやすいといえます。次は不整脈です。何らかの理由により5秒以上心拍が停止したり、脈拍が30以下に低下したり、逆に心房細動、心室頻拍や上室性頻拍などにより脈が速すぎるために心臓の拍出が低下して血圧が低下してしまうときにも起こります。また狭心症の発作や心筋梗塞による低血圧に伴って失神が起きることもあります。
検査のアプローチとしては、心電図でリズムを確認し、ホルター1日心電図で徐脈や一過性の心停止の可能性を調べます。また心房細動の有無を確認し、左心耳からの血栓塞栓のリスクを確認します。胸部X線像で心不全を意味する心拡大などの異常を調べます。弁膜症については心エコー、狭心症については運動負荷心電図が必要です。採血で貧血、心不全、甲状腺異常、脂質異常、糖尿病などの血行障害をきたす素因について調べます。降圧薬を内服する方は在宅血圧を調べ、収縮期血圧が100を下回ることがある場合は、降圧薬の減量が安全です。一過性の血圧低下に冠攣縮が原因として考えられる場合は、冠拡張薬、血管内皮安定目的のEPA、体液を増量する漢方薬の使用などを検討します。迷走神経反射による血管虚脱の場合は、塩分やミネラルの十分な摂取などの生活改善、漢方薬による体液増量などが必要です。次は頸動脈エコーを確認し、頸動脈に塞栓源となりそうな柔らかいプラークや、血栓ができやすいプラークがないかを確認します。プラークが存在する場合はコレステロールの調整が必要です。脳についてはMRIを用いて、脳梗塞、脳血管の狭窄を調べます。脳血管の攣縮が疑われる場合は、Ca拮抗薬などによる血管攣縮抑制が必要です。脳梗塞が認められる場合、抗血小板剤を用いた脳梗塞予防が必要です。てんかんの検査には脳波の検査が必要です。
まとめ:失神、意識消失は脳の活動低下ですが、心臓、循環、生活習慣、血圧、不整脈、迷走神経反射、貧血、頸動脈硬化、脳血管の攣縮、てんかんなどの要素が考えられます。(爽心会、心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋 2026/2)

