風邪

風邪はウィルス感染による喉と鼻を中心とする感染症です。風邪がこじれるのは細菌感染がからんだ時です。風邪は万病のもと、とも言われます。風邪のウィルスは喉鼻から気管支に広がり、血中に入っていきます。血中に広がったウィルスは自律神経の障害、循環器の障害、皮膚や筋肉などの問題も引き起こします。ウィルスの感染は体のコントロールをつかさどる自律神経を乱しますので、狭心症、不整脈、血行障害、神経痛などを体質的、潜在的に持っている方は、その症状が表に現れてきます。普段は胸が痛くならないのに、今日はどうしたんだろう?と思う陰にウィルスの感染が潜んでいます。

風邪の症状は喉、鼻、咳、熱だけではありません。寒い、疲れた、昼間の眠気、肩こり、筋肉痛、頭痛、めまい、立ち眩み、動悸、息切れ、胸痛、関節痛、食欲不振、喉の渇き、尿が黄色い、などが風邪によって起こされます。様々な体調不良の原因がウィルスによって引き起こされますので、これに対して対処していくことが大事です。ウィルスは平熱から39度にあがると発育速度が200分の1に下がります。熱が出るのは自分の体の負担を犠牲にしつつ、ウィルスの発育を抑えるという、肉を切らせて骨を断つ、体の防衛反応です。風邪の症状を感じたら体を温かくすればいいのです。風邪をひいたら熱いお風呂に入れ、とおばあちゃんに言われるのは、ちゃんと根拠があります。風邪の引き初めに葛根湯を飲みますが、これは熱が出る前に体を温めてウィルスに対する免疫を上げるもので、対症療法だけの西洋の薬より原因治療になっています。次に風邪は体に炎症を起こして、むくみを起こします。むくみを起こすということは、血管内の体液不足、いわゆる脱水を起こしますので、味噌汁、スープ、スポーツドリンク、経口補水液の補充が必要です。尿の色が黄色ければ体液がまだ足りていないサインですから、もっとスポーツドリンクを足しましょう。熱や寒気が出てきたら、葛根湯から麻黄湯に切り替えて、もう少し積極的に体を温めます。逆に風邪を引いていないけど、外出するので風邪をもらいたくない方は免疫を上げる補中益気湯、高齢の方は人参養栄湯を飲むと、免疫アップに有効ですね。喉が痛くなったら小柴胡湯加桔梗石膏、咳が出たら麦門湯、痰が絡んだら清肺湯がおすすめです。西洋の薬では、インフルエンザやコロナはワクチンによる予防が有効です。インフルエンザやコロナではウィルスに有効な薬があります。インフルなら吸入のイナビルなど、コロナではゾコーバなどが、高価ですが直接的に効果があります。他の西洋の薬はおおむね対症療法となります。カロナールなどの炎症止め、喉の痛みにトランサミン、咳止め、痰切りなどでしょうか。扁桃腺が腫れていたり、痰が黄色ければ細菌感染がかぶった証拠ですので、抗菌剤を使いまししょう。もっともウィルスに抗菌剤は効きません。最近マイコプラズマ、百日咳など咳が続く細菌感染が流行っています。咳が続くときはクラビットなどの抗菌剤も投与する価値があります。風邪はお腹にも来ますから消化のいいものを食べて、腹痛や下痢などの胃腸炎になったらお腹に来るウィルスの感染と考えて、常温のポカリスエットをゆっくり飲んで脱水を回避してください。下痢止めを飲むとウィルスの排泄が遅くなって治りが悪くなることもありますので、下痢止めは必要最小限にしましょう。尿が黄色になって、食事がとれず、吐いてしまうときは脱水状態ですので点滴が有用です。点滴500mlでポカリ500mlを3本分摂取したのと同じくらい楽になります。

マスクには、ウィルスを含んだ飛沫の侵入を遮断、喉の湿度を保つこと、喉を保温することでウィルスの発育を阻止、自分の飛沫をまき散らさない、4つの働きがあります。職場、バス、電車、飛行機など密閉された空間ではマスクの装着は有効です。特に飛行機では乾燥が高度で、異なる地域の自分に免疫耐性の無いウィルスがうようよしていますのでお気を付けください。

冬は空気が乾燥し、ウィルスを含んだ飛沫が乾燥により小さな飛沫になると、より遠くまで漂って感染しやすくなります。加湿器を使って十分湿度を上げることは、飛沫が床に落ちやすくなるので感染対策に重要です。残念ながらほとんどのエアコンには換気機能は付いていませんので、換気扇を使用し、窓を開けてください。

手洗いは大事です。特に鼻をいじる前にきれいにしないと、手で集めたウィルスが鼻から感染します。

ウィルス感染している人10人の内、自分がウィルス感染しているのに気が付いている方は1人と言われています。自分の体の変化のサインに気づいて、自分が風邪をひいているのでは?と疑い、周りの方に感染させずに、漢方薬などで自分に対して早目に対処することが大事です。

まとめ 

風邪はウィルス感染で、様々な症状をきたし、全身疾患発症のきっかけになります。 寒さ、疲れ、眠気、肩こり、筋肉痛、めまい、動悸、息切、食欲不振、喉の渇きなどがあれば自分が風邪であることを疑いましょう。風邪の予防には、マスク、保温、手洗い、加湿、経口補水液、漢方薬、ワクチンを利用しましょう。いったん風邪にかかったら、漢方、西洋の薬、脱水の回避に努めましょう。(2026/1/25 爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋)