自律神経失調による心臓の不調を整える薬

自律神経はその興奮によって、血管の攣縮をきたして、期外収縮や心房細動を誘発し、息切れ、締め付け、動悸、胸痛、脳貧血、心筋障害による陰性T波などの心電図変化を起こします。

自律神経、血管の攣縮、脈を整える薬にはどのようなものがあるでしょうか?

まずはEPAが血行のベースを作る優れたサプリです。自律神経失調は血管攣縮を介して息切れ、締め付け、動悸などをきたしますので、EPAによって血管内皮を安定させ、微小循環や冠状動脈の攣縮を和らげるのに有用です。

次は漢方です。自律神経失調をきたす方の多くは体液の減少を伴うことが多いので、甘草を含む葛根湯、補中益気湯、人参養栄湯などが体液を増やして血管の攣縮をおさえて血行障害を安定させます。他に動悸を整える炙甘草湯、自律神経失調や不安に伴って喉や胸部の違和感のある方には半夏厚朴湯は有用です。不眠やイライラを伴う場合は抑肝散が有効です。冷えや生理不順では加味逍遙散なども用いられます。

次は頻拍や不整脈を伴う動悸に対してはβ遮断薬が用いられます。1日心電図で動悸を伴う期外収縮が多い方、頻拍の方、心筋の肥厚をきたした方に用いられます。自律神経の興奮がβ刺激を介して心臓に伝わって頻拍や不整脈をきたすのを、まあまあとなだめるように抑えてくれます。頻脈の抑制、不整脈の抑制、心筋変性から回復などに用いられます。

次はCa拮抗薬です。降圧剤の一種として大きなウェイトを占めますが、自律神経失調に伴う冠動脈の攣縮を抑えたり、頻拍や不整脈を抑えるのに用いられます。

次はニトロ製剤です。自律神経の興奮が冠動脈の攣縮をきたし、これが心筋の血行障害の原因となり、息切れ、締め付け、胸痛を起こしてきますので、ニトロペン アイトロール フランドルテープなどのニトロ製剤は冠動脈の攣縮を抑制して、血行障害を抑えて胸部の症状を改善します。

次は冠拡張薬です。Ca拮抗薬やニトロ製剤以外では、シグマートが挙げられます。体の動脈には影響が少ないので、血圧の低い方に使いやすいメリットがあります。残念ながら頭痛を起こしやすいので、少な目の量から慣れていく必要がある方もいらっしゃいます。

次は安定剤です。心と自律神経は裏表ですので、その意味では安定剤は原因治療ではあります。短時間の効果のあるデパスやソラナックス、長時間じわっと弱めに効くメイラックスなど種類があります。胸部症状や動悸症状の緩和、特にパニック障害(ストレス→精神的緊張→自律神経の乱れの悪化→動機息切れの自覚→精神的緊張、がぐるぐる回って悪化していく)に有効で、過呼吸など息切れに有効な場合が多いようです。

睡眠は自律神経失調のコントロールにとても大事で、不眠をとにかく解消しなければ始まりません。昼間の運動、ホットミルクなどによる就眠時の空腹の回避、就眠前の暗がりスマホによるブルーライトの回避などで改善しない場合は、癖にならず、ボケるリスクのない安全な眠剤で長期処方可能なベルソムラ デエビゴ リスミー ルネスタ ロゼレムがおすすめですが、心の安定が必要な時はメイラックスやソラナックスなどが必要になります。

まとめ:自律神経失調による心臓の不調を整える薬では、血管を広げて血の巡りをよくするEPA、漢方、Ca拮抗薬、冠拡張薬があり、脈を整えるβ遮断薬や一部のCa拮抗薬、心を整える安定剤や一部の漢方薬、睡眠薬などが用いられます。自分に合った薬を探しましょう。(2026/1/18 爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋)