T波平低と言われたら

検診の心電図で「T波平低」を指摘されることがあります。心電図には尖がったQRS波の後にT波という上向きの山があり、QRS波が心臓の筋肉の収縮開始を表し、T波が心筋の拡張する時の電気信号です。T波は心臓の血の巡り、心筋の変性、肥厚や壊疽、電解質や甲状腺ホルモンの異常などによって変化します。T波の上向きの高い山が、低くなったり平らになったり変化するのがT波平低化です。

T波平低を指摘されたら、心臓の筋肉の血の巡りが悪くなっていないかを考えましょう。まず遺伝的にご両親や祖父母に狭心症の方がいないかを考えます。動脈の壁には平滑筋という筋肉があり、これが収縮しやすい素質を5人に1人ぐらいが持っています。心臓の筋肉に血液を送る冠状動脈に冠攣縮という収縮しやすい素質を持っている方では、心筋の血の巡りが悪くなってT波が平らになったり低くなったりします。次に心臓の血の巡りが悪くなる生活習慣病の存在を考えましょう。煙草、飲酒、カフェイン過剰、糖尿病、PCやスマホのブルーライトはどうでしょうか?

次に心筋の変性、肥厚や壊疽が起きていないかを考えましょう。高血圧の放置、頻拍や不整脈の放置、虚血によって心筋の肥厚と変性が起こり、T波の平低化が起こります。鉄アレイをもって運動すると2の腕の力こぶができるように、高血圧、頻拍、虚血の影響で心筋も分厚くなります。筋肉の力こぶと違って、心筋はしなやかで薄いのが健康的で、心筋の肥厚は心筋の老化を意味しています。心筋梗塞は心筋の虚血による心筋の壊疽です。心臓の筋肉の内側が壊疽を起こしやすく、部分的な壊疽はT波の平低化として現れることがあります。

T波の平低化を指摘された方は心筋の虚血、変性、肥大や電解質、甲状腺ホルモンを調べる必要があります。胸部X線、動脈硬化、採血、心エコー、1日心電図、トレッドミル運動負荷試験を通じて精密検査をしましょう。一緒に起きる心電図変化では2相性p波、R波増高不良、Q波、脚ブロック、期外収縮、陰性T波、R波増高、心肥大などが同時に認められることがあります。

T波平低と関連する自覚症状は息切れ、胸部の締め付け、動悸、胸痛、脳貧血などです。自覚症状がある方はもちろん早目の検査がおすすめですが、無症状の方も潜在する問題を明らかにするために調べることをお勧めします。(爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋2026/5/10)