肥満に伴う糖尿病のためにできる事

HbA1C(ヘモグロビンA1C)という1か月の血糖値の平均を示す数値は6.2以下が正常で、7以上は改善する必要があります。この数値の目安として糖尿病専門医のS先生はHbA1Cが7.0なら37度の微熱、8.0なら38度の熱、9.0なら39度の高熱と思えと教えくれました。

血糖を下げるインスリンは人により量が限られますので、過剰な糖質の摂取によりインスリンが不足して血糖が上がって糖尿病になり、全身の血管の老化が早まり、脳、心臓、腎臓、神経、全身血行、免疫の悪化を来します。

肥満があり、HbA1Cの高い方は、まず糖質と脂質の摂取を減らしましょう。若いころは太らなかったのに、と皆さま感じると思います。体のエネルギー代謝が加齢により減ってきますが、胃袋は変わりませんので、摂取した過剰なカロリーは脂肪に変えられてお腹、肝臓、全身に貯まります。糖質はアルコール、お菓子、アイスクリーム、果物、麺類、ご飯、糖質入りの飲料に含まれます。また脂質は糖質以上にカロリーを含みます。自分がどこで過剰に摂取しているかを考えて、過剰な糖質脂質の摂取を卒業していきましょう。

次に運動を増やしましょう。安静時に比べて運動時にはエネルギー代謝が増えます。体重60kgの方は安静に24時間過ごすと60kgx24h=1440Kcal消費します。早歩きすると代謝は大体5倍に増えますから1時間の早歩きで60kgx1hx4=240Kcal消費が増えます。砂糖1gが4Kcalですから砂糖60g分燃やすことができます。脂肪1gは7Kcalですので脂肪34g減らせます。100日続けると3.4kg痩せることができますね。また筋肉が増えると基礎代謝が上がりますので、より痩せやすくなります。

判っているけどなかなか糖質制限も運動増加もできない人を助けるのはSGLT2という薬です。概ね毎日砂糖50gぐらいを尿中に捨ててくれますので、うまくいけば1月1.5kg痩せる事ができます。問題は血糖が下がるとお腹がすくことです。甘いものを食べたら元の木阿弥ですので、魚肉ソーセージ、ゆで卵、チーカマ、サラダチキン、ささみ肉、プロテインドリンクなど糖質の少ない蛋白を摂取して空腹をしのいでください。副作用は利尿効果があるので眩暈立ち眩みがおこりやすいので水分塩分をとってください。また尿中に砂糖が増えると尿路感染が起こりやすいので膀胱炎を起こす方は注意が必要です。

SGLT2でも肥満と糖尿病が改善しない方はGLP1という食欲が低下する薬があります。この薬を飲むと食欲が抑えられます。副作用はごはんがおいしくなくなる事、気持ちが悪くなる方もいらっしゃいます。SGLT2が合わない方、効果不十分な方はビグアナイド系の糖尿病薬などを用いてHbA1C7以下を目指します。

まとめ 肥満による糖尿病との戦いは、糖質に対する欲求という本能との戦いです。自分だけで戦いきれないときは、あなたを助ける薬もあります。もっとも薬の力には限界がありますので、薬さえ飲めばと思っている方はなかなかうまくいきません。気持ちを強く持って糖質脂質制限と運動習慣で健康的な体を作りましょう。(爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋)