腎機能の為にできる事

腎機能が悪いと言われてネットを見ると、生野菜を控えろとか蛋白を控えろとか書いてありますが、これは透析直前の重症の腎不全の話です。

通常外来で腎臓悪いですね、と言われるのは中等症以下で、クレアチニン値で2以下、eGFRという推算糸球体濾過量が30ml/分以上の方がほとんどですので、今回は軽症から中等症の方の腎機能障害の話をします。

まずは痛み止めに注意しましょう。カロナール以外のほとんどの痛み止めは腎臓によくありません。皆さんが大好きなロキソニンやイブは頭痛や熱によく効きますが、腎機能を悪化させる可能性があります。特に発熱、脱水状態で解熱のために内服すると腎臓によくありませんので、内服するなら必ず水分を十分とってください。

尿の色に注意しましょう。尿が黄色ければ、体が渇いているということです。水分、経口補水液を補充しましょう。

腎臓を悪くする生活習慣と病気では、まずは煙草が最悪です。ニコチンによる血管収縮は腎血流を減少させます。カフェインとアルコールは利尿効果があり尿量を増やしますが、結果的に体を脱水にして腎機能を悪くします。塩分や糖質の過剰な摂取は腎臓に負担をかけます。腎臓は豊富な血管からできていますので血管を老化させる病気は大敵です。もっとも悪いのは糖尿病です。糖質を十分減らして運動をして必要に応じて薬を使って改善しましょう。高血圧も腎臓を悪くします。正常血圧を保ちましょう。悪玉コレステロールは血管の老化を早めます。痛風や尿酸の高値は腎臓の血管に尿酸塩を沈殿させて腎機能を落としますので生活や薬で改善しましょう。

腎機能悪化を遅らせるためには血管を長持ちさせましょう。糖尿病を制御し、血圧を正常に保ち、コレステロールを改善し、尿酸を改善、肥満していれば減量し、EPAを摂取しましょう。血液の砂糖を尿中に捨てて再吸収を阻害して腎臓の負担を減らす元々糖尿病の薬であるSGLT2は今では腎不全に用いられます。

日常生活で腎臓を長持ちさせるために血管を大事にすることは、自律神経を健康に保つことと同じです。煙草をやめ、お酒を飲んだら経口補水液や野菜ジュースをとり、カフェインは控え目にしましょう。スマホパソコンのブルーライトを浴びると交感神経が興奮して腎血流が減りますので、nightshiftや夜間モードを使ってブルーライトをカットして、十分な睡眠をとりましょう。週3回運動して汗をかき、野菜をしっかりとりましょう。マグネシウムを豆腐、海苔、シジミで摂取して魚を食べて大豆食品をとりましょう。オリーブオイルやごま油を使い、歯をよく磨いて腸内細菌環境を整えましょう。過剰な摂食による肥満を回避し、プリン体、塩分、脂質、糖質の過剰摂取を回避しましょう。尿の色が黄色かったら水分を摂取して、適度なミネラルのバランスを心がけましょう。

まとめ 健康的な生活を心がけ、煙草、飲酒、肥満、カフェイン、痛み止めなどに注意して、腎臓を長持ちさせて透析にならないようにしましょう(爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋)