動脈の収縮、攣縮(れんしゅく)
動脈には平滑筋という筋肉が壁の中に入っていて、自律神経のコントロールを受けています。この平滑筋が適切に収縮すると血圧や血流が維持されて、脳貧血や循環の虚脱を防ぎます。
動脈壁の平滑筋収縮が何らかの原因で過剰になると動脈の攣縮、すなわち内腔の狭窄をおこします。これが手足の血管で起きると冷え性になります。全身の血管で起きると高血圧になります、心臓の冠動脈に起きると狭心症になります。筋肉や神経を栄養する血管に起きると神経痛や筋肉痛の原因になります。頭部の動脈でいつもは緊張による動脈攣縮のために血液不足でバランスが取れている人が、緊張が途切れたときに動脈収縮がなくなり血管内容が虚脱すると、血管壁が不安定となり片頭痛という痛みが発生します。脳の動脈の攣縮が起きると、失神、不眠、もやもや病、認知症、睡眠時無呼吸などの原因になります。腎臓の動脈に攣縮が起きると腎障害が進行します。下肢の動脈に攣縮が起きると下肢の疼痛、歩行距離の短縮、下肢のチアノーゼ、壊疽の原因になります。
動脈の攣縮は遺伝的な因子が多く、敏感な方では自律神経の興奮、アドレナリンの分泌によって引き起こされます。生理出血などで貧血状態にあると循環を維持するために自律神経が興奮しますので動脈は攣縮しやすくなります。生活習慣では、煙草、アルコール、カフェイン、ブルーライト、睡眠不足、運動不足などが攣縮の原因になります。食生活では野菜不足、魚不足、過剰なダイエット、塩分不足、カリウム不足、マグネシウム不足、大豆不足、タンパク不足などでも動脈攣縮が起こりやすくなります。
動脈の攣縮に対する対処は、生活習慣の改善、食生活の改善、何より体液を増やすことです。薬物ではイワシ油のEPAが手軽です。葛根湯のようなカンゾウを含む体液を増やす漢方も有効です。カルシウム拮抗薬、アルファ遮断薬などの降圧剤も有効です。緊張が自律神経を亢進しますので安定剤も有効なことがあります。不眠は自律神経失調の原因になりますので上手に睡眠薬を使いましょう。心臓の血管攣縮にはニトロ系などの冠拡張剤が有効です。
まとめ:動脈収縮が過剰になると攣縮と呼ばれ血流悪化をおこします。冷え性、神経痛、狭心症、高血圧、腎障害、片頭痛、脳障害などの原因となります。遺伝要素が強いものの、喫煙、飲酒、カフェイン、ブルーライトなどの生活環境の影響を受けます。生活改善や薬物治療で改善しましょう。(爽心会心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋 2026/6/27)

