左房負荷と言われたら
心電図には心房収縮を示すp波と、心室の収縮を示すQRS波があります。このp波は上向きが正常ですが、上向き+下向きの2相性を示すことがあります。これは心臓の左心房に負荷がかかっていることを示すサインです。
左心房は左心室というメインポンプの血液の貯蔵庫です。メインポンプの調子が悪くなると、手前の左心房に血液がよどんで左心房の負荷が増えて電気的に活動が大きくなると、左房負荷の所見になります。
左心室の負荷の増える原因は、まず左心室の圧力負荷です。血圧が上がると左心室の負荷が増えて、左心室の壁は厚くなり、硬くなり、左心房に血液がよどみます。次に負荷が増えるのは心臓の頻拍です。心臓はゆっくり収縮するのが効率的です。心臓の脈が速くなったり、頻拍発作をきたすと心臓は空回りをして効率が悪くなります。心臓の筋肉の効率能が落ちると左心房の圧力が上がることでポンプを回そうとしますので、左心房の負荷が強まります。3つ目は冠動脈攣縮や冠動脈硬化による酸素供給の低下による心筋虚血です。心筋虚血は心筋の性能を落とし、心筋の肥厚をきたし、左心房の負荷を増やします。4つ目は弁膜症です。左心室と左心房の間にある僧帽弁の狭窄や逆流は左房の負荷を増やします。また大動脈弁の弁膜症は左心室の負荷を増やし結果的に左心房の負荷を増やします。
左房負荷所見のある方に必要なのはまず心音の聴取です、心臓負荷を意味する過剰心音、心臓弁膜症を意味する心雑音を聴取します。胸部X線像では左房拡大、心拡大を確認します。心電図では心臓虚血や心筋障害もサインを見ます。心エコーでは左房径、心室の壁肥厚、拡張障害、収縮障害、弁膜症を確認します。ホルター心電図で頻拍、頻拍発作、左房負荷による期外収縮を確認します。運動負荷検査で運動時の頻拍、高血圧、心筋虚血を確認します。
治療は左房負荷の原因となる問題に対してアプローチします。頻拍、高血圧、冠攣縮や冠動脈硬化による心筋虚血、左室の障害を起こす生活習慣、喫煙、カフェイン、ブルーライト、睡眠不足、運動不足、ミネラルとビタミンのアンバランス、魚食や大豆食の不足などを改善します。原因となる疾病について、高血圧、糖尿病、脂質異常症、甲状腺疾患、頻拍症、不整脈、末梢循環障害や自律神経障害などを制御します。
まとめ:左房負荷は心電図上の左心系にかかる負荷を示し、心臓の弁膜症、虚血、リズム異常、高血圧、動脈硬化、内分泌病態の改善を要します。生活習慣改善や治療を通じて改善していきましょう。(爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋 2026/6/28)

