AGA治療薬は前立腺がんマーカーPSAの感度を半減する。

AGA治療は男性の脱毛の治療法で、プロペシアやザガーロといった薬などが用いられます。男性の脱毛は男性ホルモンと関連がありますのでAGA:Androgenic Alopecia:男性型脱毛症と呼ばれ、女性に脱毛の方が少ないのもうなずけます。ところで前立腺は男性の精液をつくる臓器でこれも男性ホルモンと関連があります。成人検診に含まれている前立腺がんの優れたマーカーであるPSAは4以上が精密検査の対象になるのですが、AGA治療薬を内服している方はPSAが低めに出ることがわかっており、AGA治療薬内服中の方はPSA2以上の方を精密検査の対象とすべきです。残念ながら検診をする我々が前立腺がん検診の問診でAGAの内服を必ずしも聴取していないために、検診をスルーしてしまう方がいらっしゃるのが問題です。もっともAGAの内服で前立腺がんになりやすくなるという情報はありません。

ところで動悸や息切れや胸痛で受診する方にAGA治療中のかたが多い印象がありますね。自律神経が敏感で、動脈の平滑筋が収縮しやすい方は、心臓や頭皮の血行障害を起こしやすいので、頭皮の血行障害、冷え性、狭心症、不整脈を持っている方が多いかもしれません。内科的な観点からすれば、EPA、葛根湯などの利用で頭皮の血行を改善することが安全な発毛補助になるかとは存じますが、保険適応は通っておりませんので念のため。(爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋)