減量しつつ糖尿病をなおすSGLT2

糖尿病の言葉の由来は、血糖が上がると尿中に糖がこぼれ出る事によります。元来糖は体に必要な物質ですから、腎臓で最初の濾過で作られた原尿から糖を再吸収して体に戻して、糖の含まれない尿を体外に排泄する仕組みがあります。血糖が高くなりすぎると糖の再吸収の限界を超えてしまい尿中に糖がこぼれてしまうのですが、SGLT2という薬を摂取すると、通常の血糖でも糖の再吸収が起こらなくなり、尿中に糖が排泄されるようになります。この薬によって1日で大体砂糖50gが尿中に排泄されるようになります。

SGLT2を内服すると、尿中に糖が出る時に一緒に水分と塩分やミネラルが尿中に持って行かれます。結果として眩暈や立ち眩みが起こりやすいので、水分、塩分、野菜、豆腐やのりを積極的に取るようにしましょう。塩飴でもいいでしょう。

SGLT2で糖が尿中に出ると、血中の血糖が下がります。血糖が下がるとお腹がすきますが、このとき何を食べるかが勝負所です。お菓子、果物、アイスクリーム、チョコ、ご飯、麺をとってしまったら元の木阿弥です。50g尿中に捨てて、50g摂取したら糖尿病も治らず、体重も減りません。とっていいものは、蛋白と野菜です。魚、赤身肉、ちくわ、かまぼこ、卵、豆腐、納豆、豆乳、プロテインドリンク、牛乳、野菜、野菜ジュースなどを積極的に摂取しましょう。順調にいけば1月1-1.5kgぐらい減量出来ます。減らなかったら食べ物を再検討してくださいね。

尿中に糖が出ると尿路の細菌が繁殖しやすくなりますので、塩分と水分を積極的に摂取して、尿量を増やすことで尿路の洗い流しを改善しましょう。

SGLT2ではその他に、糖尿病による腎機能の悪化を防ぐ効果や、塩分と水分の排泄により心不全を改善する効果があります。糖尿病の方は上手に使って透析回避や心不全の防止に努めましょう。(爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋)