白衣高血圧

在宅血圧は正常なのに、クリニックで測ると血圧が高く、何度も測りなおす事はありませんか?これは自律神経の興奮のために血管収縮や脈拍上昇が起きるためです。仕事、買物、来客、電話、外出の支度などでも同じような血圧上昇が起きていることでしょう。通勤、買物、仕事などで1日何時間ものあいだ高血圧にさらされていると、それだけ心臓や血管は加齢が早まりますね。

白衣高血圧の疑われる方は胸部レントゲンで心臓の大きさ、大動脈の石灰化や蛇行を確認し、心電図で心房や心筋に負担がかかっていないか、脈波で動脈硬化が進行していないかを確認してもらいましょう。心臓と血管の加齢が認められる場合は、自律神経の興奮による変化を抑えるβ遮断、冷え性のような末梢血行障害ではイワシ油のEPA、不安や緊張が原因の場合は持続型の安定剤などでクリニック血圧が在宅血圧に近づくように調節してもらうことがお勧めです。

白衣高血圧と似た状況として、運動時の高血圧の方が多くいらっしゃいます。運動負荷心電計検査で少し歩くと、安静時に正常だった血圧が200以上になる方も少なくありませんね。健康のための運動で心臓に不必要な負荷をかけないことが大事です。運動の負荷による自律神経の興奮が血圧の上昇を引き起こしますので、ゆっくりと準備体操をして、少しずつ運動の負荷を増やしていき、体が温まって血管が広がってから負荷を増やすことが大事です。薬を用いる場合はβ遮断などの薬剤を用います。

家でも血圧を測ると最初は高いので、何回もはかって下がったところの血圧を血圧手帳に書いていませんか?最初の高い血圧も、少し落ち着いて下がってきた血圧も、どちらも正しく間違いではありません。ただ、低くなった血圧だけ血圧手帳に書いていると日常的な緊張に伴う高血圧を見落としているかもしれませんのでご注意下さいね。(爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋)