浮腫(むくみ)その2 体液を濃く保つ

むくみの主な原因は、浮腫(むくみ)その1で述べたように、重力、静脈、リンパ管、運動不足の問題ですが、その他に体液が薄くなることによる滲みだし、病気による静脈圧の上昇、血管の透過性の亢進、などがあげられます。ここでは体液が薄くなることによるむくみについて考えてみましょう。

塩を置いておくと湿ってくるのは、水分が濃いものに引き寄せられることを示しています。血液が濃ければ、細胞の間にある体液であるむくみが、血液に引き寄せられてむくみが減ります。では血液の濃い、薄い、は何で決まるのでしょうか? 

まずは赤血球が多いかどうかです。赤血球は血液の約半分の体積を占めますが、生理出血、食事不足、大腸ポリープなどによる鉄の欠乏などによって赤血球が血液の約3分の1以下になって貧血になってしまうと、血液の3分の2以上を体液で埋めないといけません。タンパクやミネラルの量が限られていると、残りは水分で埋めることになり、体液が薄く成ってしまします。薄い体液は細胞の間質に漏れやすくなってしまいますので浮腫、むくみの原因になります。生理出血などで貧血が疑われる方はシラス、赤身の肉、ブロッコリーのような緑の濃い野菜、レバー、鉄剤などの摂取により貧血を改善しましょう。

次はタンパクの不足です。タンパクは細胞間質に漏れ出しにくいので、血液内の浸透圧を保ち、浮腫、むくみを防ぎます。タンパクは肉、魚、大豆食品からつくられますので、タンパクの摂取の少ない方はむくみが起きやすくなります。脂肪肝や肝炎により肝障害が進んで肝硬変という肝臓の末期状態になった場合は、肝臓の大事な働きであるタンパクの合成ができなくなりますので、浮腫、むくみが起こりやすくなります。

次に血液の濃さである浸透圧を維持するのはミネラルや糖質です。最も大きなウェイトを占めるのが塩分であるナトリウム、次いでカリウム、糖質、マグネシウムとなります。ミネラルが少ないと血液が薄くなり、浮腫、むくみが起こりやすくなります。疲れたときに塩分や糖質をとると、細胞間質に漏れ出した水分を血中に引き戻してくれますので、血液が増えて体が回復します。もちろん塩分の継続的な過剰摂取は血液量の過剰により静脈圧が上昇してむくみの原因になります。また糖質の過剰摂取は脂肪増加を招き、浮腫ではなく肥満の原因になることにはご注意ください。

(まとめ)浮腫、むくみをとるのに、タンパク、鉄分、ミネラル、糖質の不足の無い適正な摂取が必要ですので、まずはきちんとした食事をとることが大事です(爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋)