大動脈の石灰化といわれたら

大動脈の石灰化は胸部レントゲン、腹部超音波、CTで認められる所見です。動脈に石灰がついているということは、動脈が固くなっているということです。さてなぜ石灰が付くのでしょうか?たとえ話で申し上げると、イメージするのは道路の穴と補修の跡です。ダンプカーが通っているうちに道路に穴が開きます。穴にアスファルトをもってきて補修するのですが、いい補修ができないと補修した部分のアスファルトがまた取れて穴が開き、また修復することを繰り返すうちに、道路がガタガタになっていきます。動脈は血管内皮で内面が覆われていますが、この血管内皮は血管にかかる血圧や煙草などのストレスによって容易にはがれてしまいます。血管内皮がはがれた後に白血球が張り付いて穴をふさぎます。アスファルトと同じように、何度も補修しているうちに大量の白血球がここで死んで白血球が持っていたカルシウムが血管の傷に沈着して大きな石灰を含むプラークと呼ばれる塊になっていくと超音波やX線で石灰化として見えるようになり、検診で引っかかります。

動脈の石灰化の原因は何でしょう?血管を痛めるのは、喫煙、高コレステロール、高血圧、糖尿病、高脂血症、運動不足、肥満、高尿酸、遺伝などによります。まず喫煙はタバコの1吸いで何万何十万以上の血管内皮が脱落して、どんどん血管に傷をつけていくことがわかっています。悪玉コレステロールが高いと悪玉コレステロールを白血球が食べます。この悪玉コレステロールのたまった白血球が血管の傷を治そうとすると、血管がきれいに治りません。再びたとえ話ですが、道路の穴がきれいに治らないと、埋めたアスファルトが取れて、再び穴が開いてそこをまたアスファルトで補修するので、どんどんアスファルトが積もって、プラークと言われる塊になってここに白血球が持っていた石灰がたまって検査で見つかるという状態になります。

動脈に石灰化があるという事は動脈が老化しているという事です。血管の豊富な臓器である、脳、心臓、腎臓をはじめとする全身の臓器は動脈の血行が悪くなることが臓器の老化につながります。脳梗塞、脳出血、パーキンソン病、認知症、心筋梗塞、狭心症、不整脈、心不全、腎障害、透析など多くの命にかかわる病気を引き起こしていく可能性があるという事です。

では動脈の石灰化を指摘されたら自分で何ができるのでしょうか?Drに問題点を指摘されたらその課題を解決するように努力することです。血圧が高い方は降圧剤、悪玉コレステロールが高い方はこれを下げる薬、糖尿病の方はその治療などなどです。時に修正する病気の見つからない方もいらっしゃいます。遺伝の要素が強い方ですね。そういう方は運動、魚食、大豆食、カフェイン控えて、ブルーライトカット、睡眠、歯磨き、などを管理して、サプリではEPAを飲んで血管の若返りをはかるようになります。

大動脈石灰化のまとめ: 大動脈の石灰化を指摘されたということは、動脈の加齢である動脈硬化の進行を示し、将来の脳、心臓、腎臓などの病気や体調の不良がおこりやすいことを意味します。喫煙、高血圧、糖尿病、高コレステロール、高尿酸、肥満、運動不足などのリスクを減らし、遺伝的な因子も考えてEPAなどの血管若返りのサプリを摂取しましょう。(爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋)