便秘と降圧薬

我々は年齢とともに少しずつ便秘になりやすくなっていきます。体の筋肉が衰えていくように、大腸の平滑筋が少しずつ衰えていくことと、腸の動きをコントロールする自律神経の興奮が減るためと考えられます。降圧剤でも便秘になることがあります。まずカルシウム拮抗薬という降圧薬は血管の平滑筋の収縮を弱くして血圧を下げますが、大腸の平滑筋の働きも弱くしてしまうことがあります。カルシウム拮抗薬は、アムロジピン(アムロジン)、ニフェジピン(アダラート)、ベニジピン(コニール)、アゼルニジピン(カルブロック)など降圧剤の中心的な役割を占めています。便秘になったら第2の降圧剤のグループであるARBという薬であるオルメサルタン(オルメテック)、カンデサルタン(ミニプレス)、テルミサルタン(ミカルディス)、などに切り替えると改善することが良くあります。降圧剤の第3のグループである降圧利尿剤でも便秘になることがあります。降圧利尿薬で代表的なのはトリクロルメチアジド(フルイトラン)、スピロノラクトン(アルダクトンA)、エサキセレノン(ミネブロ)ですが、血中の塩分と水分を尿中に放出しますので、結果的に乾いた体が便に残された水分を吸収しますので便は固く、コロコロになりやすくなります。薬の変更が可能な場合は変更しますが、変更の余地がない場合は便秘薬を内服するようになります。便が固くコロコロの場合は便の水分を体に奪われない効果のあるマグネシウム(マグミット)を調整します。便が柔らかくなっても便を出す力が弱くなっている場合はセンノシド(プルゼニド)などで大腸の平滑筋の収縮を強くします。この2つでも不十分な際はエロビキシバット(グーフィス)などの慢性便秘薬が用いられます。(心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋)