血圧を把握する方法
在宅血圧は最も大事な血圧の情報源です。自分がお願いしているのは朝起きてトイレから帰ってきてからの測定と、夜寝る前の測定です。測定項目は上の血圧である収縮期高血圧、これは心臓に負担をかける血圧です。次は下の血圧である拡張期高血圧、これは血管に負担をかける血圧です。最後に脈拍数、これも降圧薬のチョイスに大事な情報です。朝夕血圧を測るようになると血圧の変動が大きい事に気付かされます。低いときにふらつきを生じないこと、130/80を超えないことが多い事を目標に降圧を管理していきます。
次は来院時血圧です。人によって在宅血圧と違いがあります。来院したときに在宅時よりも高くなる方は白衣高血圧と呼ばれます。クリニックに来て自律神経が興奮して交感神経によって脈拍や血圧が上がります。在宅血圧測定が一般的になった今、白衣高血圧は放置されがちですが、在宅血圧は正常範囲でも白衣高血圧を持っている方は心臓血管の加齢がレントゲン写真、心電図変化、血管年齢により強く認められることから、白衣高血圧に対する治療意義は大きいものがあります。
白衣高血圧と逆の動きをする、仮面高血圧という状態があります。これは在宅血圧が高いのに、昼間に活動して血管が開いて、病院に来るときには低めの血圧になっています。在宅血圧を測定しない仮面高血圧の方は、家にいる間に加齢が進みますので、ぜひ時には在宅血圧を測っていただきたいと思います。
運動時の血圧は運動負荷検査や1日血圧計測などで把握することができます。在宅安静時血圧とは大きく異なるデータを示すことがわかってきました。心臓の酸素消費量は血圧x脈拍数に比例しますので、運動誘発高血圧は運動時の息切れ、胸痛、スポーツが好きな方に起きる心臓加齢の大きな因子であることがわかってきました。白衣高血圧と運動時高血圧ではβ遮断薬の効能が大いに期待されますので、在宅血圧だけ正常範囲なら大丈夫としがちな血圧管理にはもう一歩踏み込む必要がありそうですね。