入浴、免疫、コロナ

体温が平熱から39度に上がるとウィルスの発育速度は200分の1に下がるとソルボンヌ大の免疫学の教授に教わりました。風邪をひいて熱を出した後に体が楽になるのはウィルスを抑えたということでしょう。

さて入浴は体を温めます。風邪の引き初めに『熱い風呂にはいりなさい』とおばあちゃんに言われて入浴後に風邪が治り、子供心に不思議に思ったことを覚えています。

かつてサナトリウムや大きな病院には大浴場がありました。病院で浴びた結核菌やウィルスを家に持ち込まないと同時に、体を温めてウィルスや細菌を抑え込んでいたのだと考えられます。現代の病院には大浴場はなく、シャワーがあるだけになっていますね。

さて、日本は入浴という習慣が免疫上昇に一役買っていることが想像されますが、皆様は活用なさっていますでしょうか?雨でずぶぬれになったら体が冷えて風邪をひくから入浴して体を温めるのはよくやりますね。朝エアコンで寝冷えして体調がおかしかったら朝風呂も役に立ちそうですね。1日コロナのウィルスのいそうな環境から帰ってきたらしっかり熱いお風呂に入るべきでしょう。

入浴剤はどうでしょうか?温泉に含まれる硫黄や炭酸は血行を良くします。入浴剤を入れることで体の末梢血行が良くなると、お湯の熱が血流に伝わりやすくなりますね、体が心から温まる、という状態です。

体が十分温まって、脳や自律神経が十分体温が上がったと判断すると汗をかきます。まあ整った、といったところでしょうか。ウィルスが体内に入って、脳や自律神経がこれを認識すると、産熱中枢が刺激されて、震えが出て筋肉に熱を作らせます。脳は体温が何度になったら十分かという設定温度を決めますので、その温度、例えば38.5度になると寒気、震えを止めて汗をかかせるようになります。このような熱によるウィルスへの攻撃を自分で上手にコントロールできるといいですね。コロナの時代では、一緒に話をした方が咳をしていたら、体温を上げたほうがいいですね。帰宅までは入浴はできませんので、漢方薬で体温を上げてウィルスをブロックするのがいいでしょう。自分は車のダッシュボード、診察室の机、またポケットに、葛根湯や麻黄湯といった体温を上げる漢方薬をそばに置いています。原稿作成時点の発熱外来のPCR陽性率は23%ですので、風邪症状の方がいたらまあ2割は新型コロナかもと考えるわけです。

エアコンの温度についても考えてみましょう。寒い冬に風邪がはやるのは低温によってウィルスが生えやすくなるのですが、夏にはエアコンの効きが強すぎることでウィルスが生えやすくなりますよね、特に寝ている間に体が冷えてしまうと、夏風邪をもらってしまいます。朝、冷えた、だるい、肩が重い、どこか痛い、疲れが取れてない、声がかれる、のどがイガイガ、くしゃみ、咳、血圧が上がった、めまい、立ち眩み、どれも夏風邪の症状ですよね、ウィルスが検出される方の10人のうち9人は自分が風邪であると意識していないというデータがあります。もっと自分が新型コロナを含めたウィルスを持っているかも?という気持ちを持つとよろしいかもしれません。さて寝冷えが疑われて、出勤までに時間があれば熱いお風呂に入って整えてください。

新型コロナの時代に、ワクチン、人との距離、マスク、手洗い、換気、閉鎖空間の回避、会食回避、黙食などに加えて、エアコン温度の見直し、寝冷えと夏風邪を意識すること、漢方の活用、入浴の再評価も加えて考えてはいかがでしょうか。猛暑が一段落して、十分な換気ができるようになって、寝冷えが減って、デルタ型の新型コロナウィルスの波が沈静化することを心よりお祈りいたしております。