運動時高血圧と頻拍、運動負荷心電図検査

坂で息が切れるようになると、年かな?、狭心症かな?と考えるのが一般的です。でも頻度から少なくないのは運動時頻拍と運動時高血圧でしょう。血圧と脈拍数の掛け算で出てくるのが心臓への負荷になります。在宅血圧は正常で脈も落ち着いている方はまず自分が運動時に高血圧になっているとは思いませんし、医師も運動負荷心電図を施行しない限りデータの入手ができないのが原因です。

狭心症の検査で運動負荷心電図は情報の多い検査です。運動時の心電図、血圧、運動能力を同時に測り、負荷時と回復時の心電図と血圧の変化をモニターすることで、労作性狭心症、冠攣縮性狭心症、運動時頻拍、運動時高血圧、運動で誘発される不整脈を調べることができます。

ここでは運動時の頻拍と運動時の高血圧について考えていきましょう。運動するときに自律神経が興奮するのですが、自律神経の興奮は心臓の脈拍を増やし、血管の収縮を強くすることで、心拍数が増え、血管抵抗が上がり、血流量も増えますので血圧が上がります。検査する前に上が120だった方が5,6分歩くうちに200以上の血圧になってしまうのは珍しいことではありません。時に250以上の血圧になる方もいらっしゃいます。血圧は300を超えると動脈の破裂のリスクがありますので、薬で修正する必要があります。検査する前から血圧が高い高血圧の方はベースを下げないといけません、これが普通の高血圧の治療です。普段は正常血圧の方で運動時の頻拍と高血圧を認める方は、β遮断薬という自律神経の興奮を心臓や血管に伝えるβ刺激をブロックして血圧や脈を上げない薬を利用することになります。白衣高血圧と共通する部分もありますが、問題は普段は正常血圧であるのに、運動や日常活動で動脈硬化が進行し、血管年齢が上がっていくことです。また心臓の壁が運動時高血圧の負荷によって育ちすぎて、重量挙げの選手の筋肉のように、心肥大を引き起こし、肥大して硬くなった心筋がしなやかなポンプを固くして膨らみにくいポンプになって心不全の原因になることが問題です。

坂や階段で息が切れる方は、在宅血圧正常で高血圧なし、心エコーで弁膜症なし、冠動脈造影で冠動脈に狭窄なしで済ませてしまっている方が大勢いらっしゃいますが、1度は運動負荷心電図検査を受けて、運動時頻拍、運動時高血圧がないかを確認することをお勧めします。