弁膜症と歯周病

弁膜症と歯周病には深い関係があります。弁膜は心臓の4つの部屋の間を仕切るドアで、開くと血液が流れて、閉じると血液を逆流させない事で肺や全身に血液を送り出すメカニズムの一つです。弁はしなやかな膜でできていますが加齢とともに固くなったり、ぴったり合わなくなって、狭くなったり、逆流を起こしたりするのが弁膜症です。さて日本人の8割が歯周病を持っています。歯ぐきから血が出ると、歯ぐきの細菌が血中に入ることになります。血中に入った細菌が弁膜症の逆流のジェットの当たる部分にできた血栓にとりつくと感染性心内膜炎という怖い病気が起こります。発症は年に1万人に1人ですが、一旦起きると抗生物質の治療や外科手術が必要なこともあります。歯周病のコントロールには①電動歯ブラシによる十分な歯磨き、②歯間ブラシ、③マウスウォッシュ、が有効です。電動歯ブラシは普通の歯ブラシの10倍以上の歯磨き効果がありますので忙しい方にお勧めです。また歯磨きでは歯垢の約半分しか取れませんが歯間ブラシに追加で約90%の歯垢が取れるそうです。マウスウォッシュは残った細菌を減らします。心エコーで弁膜症がありますねと言われた方、まずは歯周病をコントロールしてくださいね。弁膜症に薬物治療や手術治療が必要な方はごく一部ですので。