EPAの乳化剤が心臓、腎臓、脳、血管疾患に貢献する
期外収縮や心房細動などの不整脈、狭心症、心筋の変性である心筋症、腎障害、脳血管障害、血管障害が起きるベースに血管内皮障害や血管攣縮があります。血管内皮の障害を制御するために脂質の改善が有意義で、イワシの油であるEPAは最も幅広く効果のある優れたサプリと考えられます。
血管内皮の障害や血管の攣縮には喫煙や糖尿病などの生活習慣も原因として挙げられますが、実は家族歴が大きな因子を占めています。例えば自分の親が心房細動を持っているとすると、約半分の確率で心房細動へのなりやすさを持っています。自分の親が心房細動になった年頃に自分も心房細動になる確率は高いです。一般的に女性の老化は男性より6年遅いので、父親が心房細動になったのが60歳なら、娘さんは66歳ぐらいで心房細動になると思っておくと目安になります。
さてご家族が不整脈、狭心症、心筋症、腎障害、脳血管障害を持っていれば、血管内皮障害や血管攣縮を減らして血管老化のリスクをへらせば疾患を先延ばしすることができます。EPAには約30%血管の老化を遅らせる働きがあります。
EPAは1日300mgから2700mgの間で摂取量が多いほど血管老化を遅らせることがわかっており、4000mgまで増量できることがわかっています。油の摂取には消化液である胆汁による油の乳化が必要で、油の苦手な方は多めに摂取しようとするとお通じが緩くなってしまう副作用が出てしまい十分な量の摂取ができないという欠点がありました。最近EPAを乳化した製剤が製品化されました。下痢を起こしにくいことに加え、同じ量を摂取すると、血中濃度が2倍になることがわかりました。乳化したEPA製剤は下痢しにくいので従来の約2倍量のEPA量が1袋に入っており、同じ量では血中濃度が2倍になることから、同じ1袋なら4倍効果が出ることになります。今まで2袋飲んでいた方は乳化したEPAを1袋摂取することで、2倍効きます。
期外収縮や心房細動などの不整脈、心筋変性、心筋症、狭心症、血管頭痛、腎障害、脳血管障害、認知症、動脈硬化を起こした方とその血を引く方は、そのベースにある血行障害をEPAで改善することで疾患の進行を防ぐことができます。またEPAはオメガ3というグループの中で最も優れています。EPAとDHAが混ざっている製剤と比べてEPA単独は生命予後や疾患治療効率が明らかに優れていることがわかっています。今後乳化したEPA製剤によって心臓、腎臓、血管、脳の予後は改善が期待されます。(爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋)

