平均寿命、健康寿命について
さて仮にあなたが65歳として、退職や年金受給の年頃で今後のシニアライフを考えるときに、平均寿命、健康寿命、標準偏差を考える必要があります。あくまで平均で考えるなら、65歳の方の平均寿命は男性84歳、女性89歳です。一方、健康寿命は寿命の約8年間短くなるので男性76歳、女性81歳となります。男性は年金をもらいながら、あと11年間働き口があれば働けるのか、その後の8年は蓄え+年金でやっていくことになると考えます。女性は年金もらいながら、あと16年働けて、その後の8年は蓄え+年金でやっていくということになりますね。
さて平均は平均です。健康は遺伝や、発癌や、自分の病気や健康維持により必ずしも平等ではありません。これが標準偏差です。平均寿命の標準偏差は8.5年と言われます。まあ8年としましょう。全体の約70%の方が平均+-8歳に入るということになります。そうなりますと幅が出てまいります。
65歳の男性の70%の方の寿命の幅は76-92歳、健康寿命は68-84歳
65歳の女性の70%の方の寿命の幅は81-97歳、健康寿命は73-89歳
このように大きな幅があることがわかります。単純な数字の計算のほかに、寿命や健康寿命に影響を与える、最も参考になるデータは自分の親、祖父母、兄弟の寿命や健康寿命でしょう。次に2つの因子が影響を与えます。癌の家系であるかどうか?心臓、血管、高血圧、糖尿病、脂質異常などの家系、あるいは自分が病気を持っているか?でしょう。 対策は、癌家系で親が肺がん、大腸がん、すい臓がん、などを持っていたらそれぞれの検診、あるいは精密検査を受ける価値がありそうです。また心臓血管腎臓の病気をもつ家系の方は、検査と対策を立てることで自分の健康余命と寿命を何割も変えることができます。一般的に心臓血管系の病気は治療でその予後が30%変化するといわれていますので、きちんと治療しない方の残りの健康余命が10年だとすると、治療することにより3年延びて残りの健康余命は13年になると単純計算できます。たった3年間、と思うか思わないかは人生観によりますが、少なくとも皆保険のわが国では皆様にチャンスがあるのは悪いことではないと思います。(爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋)
