陰性T波と言われたら
検診の心電図で陰性T波を指摘されることがあります。心臓の筋肉が収縮する時の電気的なシグナルの異常です。わかりやすく言えば、心臓の筋肉の血の巡りが悪くなったり、分厚くなったり、障害を受けたり、負担がかかっていることを示します。
陰性T波を指摘されたら、まずは自分が遺伝的に心臓の筋肉の血の巡りが悪くなりやすい素質をご先祖から頂いた可能性がありますので、自分の両親、祖父母、おじおばに狭心症や不整脈などの心臓の病気、血管つながりで脳、腎臓の病気がないか聞いてみましょう。そして次に自分の素質と病状の程度を調べて治療が必要かどうかを調べましょう。心臓の筋肉に血液を送る冠状動脈という血管の壁に平滑筋という血管の緊張をコントロールする筋肉があり、この平滑筋がほかの方よりも収縮しやすい素質を持っている可能性があります。持って生まれた体質に加えて、喫煙、糖尿病、頻拍、高血圧、甲状腺の病気、肥満や脂質異常があると、より心臓の血行が悪くなり、心筋の変性が起こりやすくなります。血管収縮の素質を持っている方は血圧も高くなりやすく、血圧が高くなると心臓の筋肉が分厚くなって老化変性して、分厚い心筋は酸素を多く消費します。さらに冠状動脈が収縮すると心筋への酸素供給が減りますので、心筋虚血という状態になり、息が苦しくなったり、不整脈が出たり、胸が締め付けられたり、失神しやすくなったり、心電図に陰性T波がでたりします。
陰性T波をお持ちの方は、その原因を調べましょう。冠攣縮という狭心症の素質があるのか?血圧が高いことが修正を必要とするのか?心臓の筋肉の肥厚があり、薬で肥厚を改善させる必要があるのか?不整脈が隠れていないか?脳梗塞の原因になる心房細動になるリスクはないのか? 検査としては心筋の肥厚は心エコーで、心臓の血管の収縮である冠攣縮と不整脈は1日心電図であるホルター心電図、運動の負荷による高血圧や頻拍が心筋変性を引き起こしていないか?はトレッドミル運動負荷検査でよくわかります。
陰性T波を指摘される方は何らかの心筋や血行の障害があり、薬物などの治療によって改善できる可能性は高いと思われます。症状がないからと放置せず、一度調べてみることをお勧めします。(爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋)
