心拡大と言われたら

心拡大は胸部レントゲンの所見です。胸郭すなわち体の骨格の幅を100%としたときに心臓の幅がその50%を超えていることを心拡大と呼びます。心拡大を心肥大と誤って表現することがありますが、心肥大は心超音波検査で心臓の筋肉の厚みが分厚くなっている事や、心電図検査で心臓の筋肉が頑張りすぎて電位を高くしたときの電気的心肥大を示します。

さて心拡大の起きる原因を考えましょう。まず肥満です。横隔膜の下に腹腔内脂肪がたまると横隔膜が上がってきます。すると心臓が縦向きから横向きになってきます。縦長の心臓が横向きになると心臓の横方向のシルエットが大きくなりますので心拡大となります。次に大動脈の延長に伴うものです。高血圧の影響と動脈の加齢で大動脈が伸びることがあります。心臓の上にある大動脈が伸びると心臓は横隔膜に向かって押し付けられて横を向きますのでこれも心拡大となります。

さて心臓が大きくなって心拡大になる場合を考えましょう。心臓の中にある部屋、心房や心室が大きくなると、心臓全体が大きくなり心拡大となります。心臓の部屋が大きくなるのは、心臓の血の巡りが悪くなる場合、心臓のドアに漏れがあって血流がよどむ場合、生まれつき心臓の中に血流が空回りする穴が開いているばあいなどが挙げられます。その他、高血圧、頻拍、不整脈、狭心症、貧血、甲状腺などによって心臓に負担がかかり、心臓が大きくなることで体の必要とする血流を送るように代償している場合があります。心不全や心膜の炎症などで心臓の周りに水が溜まってる場合なども考えられます。

検診で心拡大を指摘された場合は、自分がどの原因を持っているかを考える必要があります。学童期では生まれつきの問題がないかを調べていきます。成人では肥満、高血圧に加えて、心臓の血の巡りの問題や、心臓の弁膜症、頻拍や不整脈などの問題を探っていきます。

検査としては、胸部レントゲン、心電図、脈波計、採血、1日心電図、心臓超音波検査、運動負荷心電図が心拡大の原因を調べるのに有効です。

自分で気を付けることのできる心拡大に対する対策は、体重を落とすこと。血圧を測る事、心臓や血管の血の巡りを良くするために運動する事、魚食、大豆食を増やして血管を柔らかくして心臓が動きやすくすることなどが挙げられます。

まとめ:心拡大と言われた場合は肥満、血圧、弁膜症、心虚血、不整脈、貧血、甲状腺などの原因を調べましょう。