胸痛を持つ方がお酒とコーヒーを安全に摂取するには

胸痛を起こしやすい方では、血管内の虚脱によって心臓の血管の収縮が起きる冠攣縮や冠微小循環障害をお持ちの方が多いかと存じます。アルコールとカフェインに共通する問題は利尿効果で、水分とともに塩分、カリウム、マグネシウムといった心臓の血管安定や不整脈の抑制に必要なミネラルを失ってしまう事です。尿中に水分とミネラルが出ることは、血管内の体液の不足を引き起こします。体液が不足すると、どこかの血管を収縮しないと脳に血液が送れなくなります。この時心臓の血管である冠状動脈が収縮すると、胸痛を引き起こすことになります。アルコールは血管拡張効果がありますので、顔の血管が開くと赤ら顔に、手足も赤くなる方もいらっしゃいますね。顔が赤くならない方は、アルコールのもつ血管拡張よりも、利尿に伴う血管内虚脱によって顔の血管がむしろ収縮して、顔が青くなる方もいらっしゃいますね。またアルコールの毒性により自律神経の不安定が起きることで、不整脈や冠攣縮は起こりやすくなります。アルコールの利尿効果による体液ロスを防ぐには体液を構成する水分とミネラルを補充することが大事です。スポーツドリンク、味噌汁、スープ、麺類などは効率よく不足した水分ミネラルを補充してくれます。お酒を飲んだ翌日にトマトジュース、というのは水分、カリウム、塩分を効率良く摂取できる意味で理にかなっています。さてコーヒーのカフェインはどうでしょうか、利尿に関してはほぼ同じ動きをしますので、コーヒーの好きな方は、カリウムを含む野菜ジュースや塩分を摂取するとバランスをとることができます。カフェインは自律神経を刺激しますので、不整脈や冠攣縮を起こしやすくします。胸痛のある方はカフェインレス(デカフェ)コーヒーを探すことも大事かと思います。カフェインもアルコールも人により反応が異なりますので、ひとくくりにはできませんが、胸痛をお持ちの方は慎重な摂取をお願いします。

アルコールやコーヒー以外では、スポーツ、サウナ、行楽などで発汗に伴って体液の不足が起こります。ミネラルを十分摂取しましょう。よく水分をとりましょうと言いますが、塩分ミネラル切れになっているのに水分だけとっていると体液がどんどん薄くなって低ナトリウム、低カリウムを引き起こし熱中症の状態を悪化させていきますので、発汗時はスポーツドリンク、塩飴、ラーメン、スタミナのつくミネラルを豊富に含む食品をとって、のどが渇いた分水分を摂取することがバランスをとるのには大事です。頭で考えて水分ばかりとることは時に危険を伴いますのでお気を付けください。夏の行動1時間に必要な水分量は体重(kg)x10mlですが、水だけでなくミネラルも一緒に補充する必要があり、スポーツドリンクが手軽です。体重50kgで1時間500mlのスポーツドリンクを必要とします。もし飲み物が水なら、500mlに対して追加の塩分2gを必要とします。塩分2gは塩飴2ケ、味噌汁1杯、スープ1杯に相当します。よく塩分控えめと言いますが、屋外に出る行動的な方は、7-8月には積極的塩分摂取に切り替えた方が安全でしょう。

まとめ:胸痛のある人がアルコールとコーヒーを安全に摂取するには、塩分を含めたミネラルと水分の補充が大事です。