夜尿と降圧剤の関係、降圧剤は朝夕どちらに内服するか

降圧剤は朝と夕方のどちらに内服することがいいかについては、2020年頃にスペインで行われた大規模な検討で夕方内服する方が入院と死亡が半減することが示されましたが、2024現在ではイギリスで同様の研究の再確認がなされて、朝と夕方の内服による入院や死亡には差がないとのデータも出ております。2024年現在では降圧薬の内服時間については朝夕に違いがないと考えると、飲酒など生活スタイルや飲み忘れしにくい事などを優先することがよさそうです。さてそれではどのような方が朝内服した方がいいのでしょうか?基本的に降圧薬は腎血流量を増やして尿量を増やします。降圧薬の中心的存在であるカルシウム拮抗薬やARBではその傾向が強いです。最近の降圧剤のほとんどはじわじわと1週間効能が持続するものが多いのですが、それでも内服後半日以内が血中濃度や効能について強く働きます。夜内服するとちょうど就寝中に尿が多く作られます。結果的に夜間頻尿の原因となります。またカルシウム拮抗薬やARBは血管の平滑筋の収縮を減らしますが、泌尿器系の平滑筋にもわずかに作用する方もいらっしゃいますので尿漏れ、多尿、頻尿の原因になる可能性があります。夜間の頻尿は生活の質を下げ、睡眠不足の健康被害がありますので、夜間頻尿のある方は、夕方でなく朝の降圧剤内服がおすすめです。夜間の飲酒のために夕方の薬の内服を忘れがちだった、お酒と一緒に薬を飲みたくない方も朝の内服が好ましいかもしれません。利尿降圧薬については読んで字のごとしで夜間尿が増えますので、朝内服することがおすすめです。ベータ遮断薬やアルファ遮断薬は眠気や立ち眩みの原因になることがありますのでどちらかといえば夕方内服がおすすめです。

話が少しそれましたが、降圧剤で夜間頻尿が起きた方は、朝の内服に切り替えてみることをお勧めします。(爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋 2024/4改)