便秘

お通じが毎日出るといいのですが、なかなか出ないこともあります。

若いころは10人に1人の方が便秘ですが、お年になると2人に1人の方が便秘になります。腸の筋肉は平滑筋ですが、体の筋肉である骨格筋が少しずつ弱っていくのと同じように腸の筋肉も衰えていきますので、便を送り出す力が弱くなるために便秘になりやすくなります。また年齢とともに自律神経が鈍くなりますので、腸を動かすシグナルが減って平滑筋の緊張が低下して便を送る機能は低下します。

女性は女性ホルモンの影響で、脊髄から体の筋肉に送る刺激が男性よりマイルドになるために筋肉がしなやかになり、お腹に赤ちゃんができた時のお腹の張りに耐えられますが、腸の筋肉である平滑筋の収縮もやさしくなりますので便秘になりやすくなります。

便の柔らかい硬いは基本的には含まれる水分の量で変わります。水分が多いと柔らかくなります。水分の摂取の少ない方は、体が便から水分を吸収することで体の水分量を増やします。結果として便が硬くなります。Mg(マグネシウム)を多く含むモズクなどの海藻や海産物、食物繊維を多く含む野菜や穀物は水分を保持する能力が高いので、大腸で便から体に水分を吸収されることをブロックして便が柔らかくなります。肉は胃腸の運動を低下させますので便秘になりやすくなります。唐辛子は腸を刺激して便が緩くなります。油は腸の吸収を低下させて便が緩くなりますが、時に胃の流れを悪化させて逆流性食道炎により胸焼けの原因にもなります。塩分を控えすぎている方は喉が渇かないので水分摂取が低下して結果的に便秘になりやすくなります。

薬として古典的なものでは、ミネラルによる水分保持で便を柔らかくするMgと大腸の収縮を刺激して便を出す力を強くするセンナが代表的で、江戸時代末期にシーボルトが来日した時も持っていたそうです。塩類下剤と呼ばれるMgは250mgや330mgの粒があり、1日計2000mgまで使えますので、便の硬い柔らかいに合わせて自己調節します。便が柔らかいのに出ないときにはセンナ等の大腸刺激下剤を調節します。最近の新しい便秘の薬では、大腸の水分吸収をコントロールする薬や胆汁の吸収を制御する薬などが出てきています。便秘が長く続くと異常な発酵を起こして下痢になり、便秘下痢を繰り返す方は腸内細菌叢のコントロールも必要ですので乳酸菌やウェルシュ菌の製剤を摂取したり、ヤクルトやヨーグルトなどの製品をとるのもよさそうです。歯周菌が増えると腸内細菌叢に悪影響しますので、電動歯ブラシ+糸ようじ+マウスウォシュがお勧めです。

まとめ 便秘がない状態を作るのは、腸内環境を整えて健康な体を作るのに大事です。食事、水分、歯磨き、薬を上手に使って整えましょう。