しもやけとあかぎれ

冬はしもやけとあかぎれができやすいですね、さて体質だと思ってあきらめていませんか?体液の増加、血行障害の改善、皮膚の保湿と炎症のコントロールで改善させることができます。

冬は手や足といった末梢血行の障害が起こりやすくなります。寒くなると体の熱を逃がさないために手足の血管が締まりやすくなるためです。結果的に手足の血の巡りが悪くなって、手足の皮膚の代謝や呼吸状態が悪化して、やけどや凍傷に似た炎症が起こります。炎症が起こると手足は赤くなり、むくみ、かゆみが起こります。末梢血行の障害を改善するには、まずは体液を増やすことです。体液は塩分、蛋白、血の濃さ、食事の摂取量に依存しますので、塩分を控えている方、ダイエットで食事量を減らしている方、肉、魚や大豆などの摂取の足りない方、生理の出血が多い方は、体液が減って手足の血行障害が起きてしまいます。よく健康のために塩分の摂取を控える方は多いのですが、しもやけとあかぎれの方は冬は塩分をしっかり摂りましょう。体液を増やす次の方法は漢方薬です。葛根湯、補中益気湯や人参養栄湯などカンゾウという体液を増やす成分を含む漢方を摂ると末梢血行が改善します。よく血圧を気にして塩分とカンゾウを控える方は多いのですが、しもやけやあかぎれを起こしている方は摂取するべきでしょう。貧血のある方は鉄を摂取して血液量を増やしましょう。鉄は食べ物ならブロッコリーなどの緑の野菜(結石を作るほうれん草以外)、レバー、シラスを摂取し、鉄のサプリ、あるいは医師が処方する鉄剤を内服しましょう。鉄剤は腹痛や下痢などを起こしやすいので食事直後あるいは食事中に内服すると鉄が食事と混ざって副作用が軽減されます。

血行障害の改善には、塩分や漢方薬に含まれるカンゾウに加えて、末梢血管を広げるイワシ油であるEPA、ビタミンE、シロスタゾール、プロスタグランディンなどが有効です。塩分とカンゾウの摂取で血圧が上がるなら、α遮断剤という降圧剤を内服すると末梢の血管が広がってより冷え性が改善します。食べ物で血流を改善するには魚を摂取しましょう。魚肉ソーセージ、ちくわ、カマボコ、はんぺん、チーカマといった練り物でも大丈夫です。大豆食品も血流を改善します。豆腐、納豆、豆乳、おからが有効です。オリーブオイルやごま油も血流改善に役立ちます。

冬の乾燥によって皮膚は油切れを起こして、状態を悪化させます。コロナ禍の手消毒や食器洗いの洗剤も手の油脂を奪います。ワセリンを塗って乾燥を防ぎましょう。赤さやかゆみが出ていることは炎症が起こっていることを示しますので、ステロイド入りの軟膏を使用すると早く改善します。

まとめ:しもやけ、あかぎれを改善するには、塩分と漢方などを摂取して体液を増やし、イワシ油のEPAなどを摂取して血行障害を改善し、ワセリンやステロイド入りの軟膏で局所の炎症を緩和しましょう。(爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋)