血圧計でわかる事 血圧の上と下、脈拍

上の血圧は収縮期圧と言われます。上の血圧が高いと心臓が血液を拍出する圧力が上がるので、心臓の筋肉が早く分厚くなって加齢を早めることになります。また坂を登ったり走ったりすると息切れや動悸を起こしやすくなります。安静時の上の血圧が130を超すことが多いときは下げることによるメリットが見込まれます。

下の血圧は拡張期圧と言われます。心臓が血液を拍出した後に心臓の出口である大動脈弁が閉じると血管の緊張によって拡張期が維持されます。下の血圧が高いと血管が早く痛みます。血管が豊富な臓器は、脳、心臓、腎臓ですので、父母祖父母に脳梗塞、脳出血、心臓病、腎不全、透析のある方、また大動脈瘤や大動脈解離といった血管の病気の方が親戚にいる方は、下の血圧が80を超すことを少なめにしておいた方がよさそうです。

脈拍は安静時の目標が毎分60-80回ですが、さほど厳密なものではありません。スポーツをしている方は、心臓の拍出に余裕がありますので毎分30-50回でも大丈夫な方が多くいらっしゃいます。スポーツをしていない方で脈が40回以下で立ち眩みが出る方は脈がゆっくりであることに問題があるかもしれません。脈が速い方は貧血、甲状腺機能亢進、塩分不足、自律神経失調などの問題が隠れていることがあります。ところで運動すると脈は速くなります。200-年齢/毎分が上限の目安です。例えば60歳の方は歩いていて脈が140以上になるようですと、脈が速いせいで息切れしやすいかもしれませんね。

血圧や脈拍は変動します。上の血圧が低めの時は100前後で、高めになると150前後というのはよくあることです。若いころは血管が柔らかいので血圧が安定していますが、加齢で血管が硬くなってくると寒暖、朝夕、食事や塩分、体動、体液の量によって変動します。長期的な心臓、血管、臓器の保護を目標とするときに、血圧は厳密には調節しきれませんので、高血圧の方は、上の血圧が130以下のことが多く、下の血圧が80以下のことが多いという事がコントロールの目標になります。脈についても同じです。一時的な脈の遅さや速さは立ち眩みや動悸が無ければ問題にならないことが多いので過剰に気にしないことも大事です。

基本的に血圧は上も下も低め、脈はゆっくりが心臓、血管と重要臓器にとっては有利です。血圧高めや脈拍早めの方は自分に合ったコントロール目標を探していきましょう。