心雑音と言われたら

心雑音とは心臓の音に雑音が混じることです。もともとドッキンドッキンという音がするのですが、ここにシューとかザーとかドロドロといった音が混じって聞こえるのが心雑音です。

健診で心雑音を指摘された方を聴診すると全ての方に心雑音があるわけではありません。心音の強勢といって、体が細かったり、血圧が高かったりするために、ドッキンの音が強く聞こえる方もいらっしゃいます。また過剰心音といって元々ドッキンという音に他の音が増えて、ドドッキンとか、ドッドロとか、ドロッドロッとか余計な音が聞こえるときも、ざっくり心雑音と表現されることは多いようです。まあ心雑音ではなくても心音の異常にも心臓の異常が隠れているので健診としてはよろしいかと考えます。

ドッキンという心音はシンプルに表現するなら心臓の部屋から部屋に血液が移動する際にドアが開く時と、ドアが閉じるときに音が出ると思ってください。心雑音は血液の移動の時に発生します。笛を吹くようなもので、狭いところを血液が速い速度で通過すると振動して音が出ます。

血流が増えている状態では心雑音がしやすいです。心臓に異常がなくても、甲状腺機能の亢進では心臓の血液の拍出速度が上がりますので音が聞こえることがありますし、貧血で血が薄くなって薄い分を血流を増やすことで全身に必要な酸素を送るとき、あるいは自律神経の興奮で心臓が活動過剰になっているときなどでも音がします。

心臓のドアなどが狭くなっていると音がします。狭いところを血流が無理に通ろうとすると笛のように音を指しますね。動脈硬化で大動脈弁に石灰がついて狭くなっていると音がします。心臓の出口の筋肉が分厚くなっている方でも音がします。

弁と呼ばれる心臓のドアの逆流でも音がします。心臓の部屋から部屋に1心拍で60mlの血液が移動して、後ろのドアが閉じることで逆流を防ぎますが、ドアに隙間があると血液が手前の部屋に戻ってしまい、この時に音を発生します。

心雑音の検査で有用なものは心エコーです。エコーは音波ですので、音が発生する状態は音波のシグナルとして見つけることができます。また胸部レントゲン、心電図、脈波検査、採血なども利用します。

さて心雑音と言われて調べてみると、痩せた体型、甲状腺、貧血、高血圧、欠損孔など生まれつきの心臓と血管の異常、弁膜の狭い事や漏れている事、心筋の肥厚、心臓の筋肉が固くなっている状態、肺の異常、心不全などがわかってきます。特に処置が必要ない場合もありますが大きなトラブルを未然防ぐ対処がある場合もありますので、心雑音を指摘された場合は一度心臓を調べてみましょう。