夏の動悸と息切れ

夏は体温調節のために1晩で1Lの汗をかきます。塩分は4g失うことになります。これを補充しないと、体液の量が減ります。体液が減ると、体の中の弱点の血の巡りが悪くなります。内耳の血流が悪くなりやすい方はめまいをおこし、頭痛を起こしやすい方は脳血管の虚脱により頭痛、脈が乱れやすい方は動悸、冠攣縮性の狭心症の方は息切れ、胸の締め付け、胸痛が起こりやすくなります。体液が減ると心臓の1拍の血液の拍出が減りますので、脈を増やして体に必要な血流量を確保しようとします。これが動悸の原因になります。よく水を飲め、と言いますが、塩分やミネラルを摂らないで水分を摂るとカリウムがなくなって夏バテになったり、ナトリウムが低くなって意識障害を起こしたりしますので注意が必要です。熱中症の予防にはまず塩分を摂ることです。仮に塩分が過剰になれば喉が渇きますので水分を取ることで塩分は薄まり修正されます。1晩汗で失った4gの塩分は味噌汁なら2杯、梅干しなら2ケ、塩飴なら4ケ、魚肉ソーセージ2-3本に相当します。よく汗をかかないという方がいらっしゃいますが、不感蒸泄と言って、汗は出なくても皮膚から蒸散していきますので、やはり補充が必要です。日中の活動では屋内でも1時間に200ml塩分1gずつロスしていきます。炎天下に出ると1時間に500ml塩分2.5gずつロスしていきます。7,8月は外出するときは塩飴を10ケ持って行った方がよさそうですね。血圧が高い方は普段塩分を控えていただいてますので、塩分を取ってくださいというと血圧は大丈夫でしょうか?と心配される方は多くいらっしゃいます。夏に塩分を控えていると熱中症をおこして救急車を呼ぶことになります。高血圧の方も7,8月は塩分4g味噌汁にして2杯摂っておいてください。きちんと血圧を測っている方は多少塩分摂りすぎても心配いりません。本年の7月末で当院にかかっている方の200人に1人ぐらいが塩分不足で救急車のお世話になっています。皆さん点滴という塩分摂取を受けて回復していらっしゃいます。他人事と思わずに8月中の塩分摂取と、9月以降は再び塩分制限をお願いします。服装と同じで季節によって塩分摂取量も変える必要があることを意識してください。(爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋)