自律神経を整える 2. 食生活など

  1. 脱水の回避 脱水は水分の不足、塩分や栄養素の欠乏によって血管が満たされていない状態です。お小水が黄色かったら水分を十分摂取してください。アルコールやカフェインには利尿効果がありますので、脱水に注意してください。脱水は心臓のポンプに回る血液を減らしますので、交感神経が興奮して脈拍や心拍出の増加の為に自律神経が乱れます。きちんと食事をすることは脱水の回避に大事です。手足が冷えるのに脱水が関与している可能性は高いです。梅コンブ茶を1杯飲むと冷えた手が温かくなりますよね、体液が不足すると真っ先に手足や頭皮が犠牲にされますね。髪の毛の心配な方も脱水を避けたほうがいいですね。
  2. 経口補水液の摂取 水分だけですと、尿に排泄されやすく、電解質を含んだ経口補水液は血管内にとどまりやすいですね。スポーツドリンクは500mlに砂糖が50gぐらい入っていますので、糖質少な目のOS1、イオンウォーターなどの経口補水液がお勧めです。体調不良の時は深く考えないで経口補水液を飲んでみてください。多くの体調不良に脱水が隠れていますので、8割ぐらいの方は改善する可能性が高いです。
  3. カリウムの摂取 カリウムが切れると夏バテ状態になります。アイス、ソーメンに代表される塩分、糖質や水分は口当たりがよくて暑くても入りますが、胃が弱くなるとおかずの摂取が減り、細胞内で最も大事なカリウムがなくなると全身の細胞の機能が低下します。野菜、野菜ジュース、あるいはおかずを積極的に摂取しましょう。果物にも多く含まれますが、果糖もいっぱい入ってますので太らないように気を付けましょう。またおかず全般に含まれていますので、積極的な摂取をお願いします。生き物の細胞に最も多く含まれる電解質がカリウムですので、生き物由来の食品を取ればよいということです。
  4. マグネシウムの摂取 マグネシウムは神経、血管、筋肉が安定するために必要な電解質で、カリウムと並んで不足すると足がつりやすくなったり、脈が乱れたり、胸痛が出やすくなったりします。豆腐のにがりはマグネシウムです、その他、海苔や海藻に多く含まれます。
  5. 塩分の摂取 減塩はとても広く知れ渡っているので、健康を気にしている方が100人いたとして、採血で塩分であるナトリウムが正常上限を上回る方は1人いるかどうか。その一方でナトリウムが正常加減を下回る方は5人はいらっしゃいますね。塩分、ナトリウムは体液に最も多く含まれる電解質で、細胞にとっては体内で海を再現していることになります。熱中症の時に塩分が切れると倦怠、冷え、意識障害などが起きてきます。塩分が少ないと体液が減って脱水になり自律神経が乱れます。昔はいい降圧剤がなかったので、減塩は最良の長生きの方法でしたが、降圧剤と在宅血圧計のある時代にはやみくもに減塩に走るのではなく、適度な塩分の摂取が好ましいと考えられます。食事を抜くと塩分と水分が切れて手が冷たくなりますね、梅昆布茶を一杯飲むと手が温かくなるのは体液が増えて体の末梢まで血を巡らせる余裕ができたと体が判断したということです。日本には味噌汁、納豆や糠づけなど優れた発酵食品がありますが多くは塩分も含んでいて、健康を気にする方に遠慮されているようですね。味噌汁やスープを飲むことは自律神経を整えるのに大事なことです。炎天下でなければ塩飴をなめなくていいと思いますが、高濃度の塩分は胃に悪いのでご注意ください。
  6. 発酵食品 発酵食品は良質の細菌を豊富に含んでいます。良質な細菌は腸の細菌叢を改善します。腸内の細菌叢が不良になると、腸粘膜から入り込んだ細菌が血管の攣縮やアレルギーの原因を引き起こしていきます。歯を良く磨いて歯周菌が腸内細菌叢に悪影響を与えないことに並んで、積極的な発酵食品の摂取は自律神経の為に好ましいと考えられます。
  7. 漢方薬 我々の周囲にはいつも様々なウィルスがいて、1-2週に1度はウィルスが体の中に入ってきて体調不良や自律神経失調の原因になっています。風邪なんか引いたことない、という方は大勢いらっしゃいますが、風邪をひいている方の10人に1人だけが風邪を認識できるということはわかっていますので、熱がないから風邪でないと考えずに、疲れ、肩こり、倦怠、眠気、頭痛、めまい、立ち眩み、血圧の上昇などでもウィルスが入ったかなと考えた方がいいでしょう。普段から補中益気湯、人参養栄湯や葛根湯などを積極的に飲んでおくとウィルスに感染しても発症しにくくなりますので、自律神経失調をはじめコロナ対策にはお勧めです。コロナワクチンの後遺症で自律神経の乱れる方は多くいらっしゃいますが、漢方は有効です。

〇自律神経に関するあとがき カフェイン、酒、運動、入浴、塩分、糖質など自律神経に影響を与える因子は数多くあります。我々なんでも単純に何が体に良くて何が悪いかと決めつけやすいのが問題です。塩分のように悪と決めつけられがちの因子がありますが、本当は中庸が肝心です。適度な入浴は体にいいですが、のぼせたらだめですよね。タバコは悪ですが、たいていの因子は波のように程よく変動させることで体調を良好に保てることが多いですので、健康に気を付けすぎて、極端に何かを無くしたり、取り過ぎたりということのないように自分に合った適度な摂取量や適度な負荷の調節を探していくことが大事だと思います。(爽心会 心臓クリニック藤沢六会 磯田 晋)