高尿酸は心腎脳血管に悪い
以前より尿酸が高いことと、美食、肥満、痛風、腎障害の関連が言われてきました。ようやくフェブキソスタット(フェブリク®)で尿酸を下げる価値がデータ化しました(下図参照)。横浜市立大学も含む国立循環器センターを中心とするグループの報告によれば、3年間の治療で腎障害が20.5から16.2%に低下(その差4.3%)、生命、脳、冠動脈、心不全、重症動脈硬化、腎障害、心房細動は28.7から23.3%に低下(差5.4%)しました。3年で5.4%は10年で18%、5年で1割、10年で2割の違いは大きいと思いませんか?
プリン体について
尿酸は細胞の中の核に含まれる遺伝子情報のDNA(核酸)やエネルギーの運び屋のATPなどプリン体と呼ばれる物質の老廃物です。旨味であるイノシンなどが代表です。レバー、内臓、カツオ、ジャコ、エビなどがプリン体の多い食品ですね。野菜にはほとんど入ってませんね。
摂取
美食を避けましょう。出汁は濃縮プリン体です。うまみの成分であるイノシンは熟成肉や干物に豊富に含まれますが、これが実に尿酸の原料ですね。ビールも多いです。大食いもだめです、エネルギー運搬(ATP)もプリン体。エネルギッシュな方、活発な方は尿酸が高くなりやすいと言われています。仮説ですがATPの代謝が亢進したら、尿酸の産生量も増えることが予想されますね。
排泄
尿酸は読んで字のごとく尿に排泄されます。お酒を飲むとアルコールの利尿で脱水になります。腎臓が原尿から水分を再吸収して脱水を改善しようとするときに、尿酸も再吸収することで尿酸値が上昇するとの仮説が有力です。だからお酒を飲んだらそのあと充分な水分を摂取してください。アルコールには水分を尿に出す効果のほかに、末梢血管が広がるせいで血管内の水分をむくみとして皮下などに出してしまいます。深酒の翌日トイレでお小水が濃いことに気づきませんか?二日酔いが治ってくると利尿がついて、尿が多くなり、尿の色もうすくなりますよね、これはむくみが血管内に戻ってくるからなんです。尿の色が濃い時は水分が足りない証拠ですので、十分な水分摂取をお願いします。
体質
遺伝は仕方ありません。でも肥満、過食、ビール、思い当たることはありませんか?ご家系に痛風や高尿酸血症のある方、透析の方がいらっしゃる方、尿酸に十分ご注意くださいね。
利尿剤
血圧や心不全治療の副作用で上がることもあります。それぞれの治療のバランスをよく考えましょう。サイアザイド系の降圧薬(フルイトラン®など)は最もコストパフォーマンスに優れた降圧薬ですが、一番小さな量でも小柄な方には過量となる時もあります。尿酸が高くなったら、まずは半粒にしてもらいましょうね。
尿酸が高いと言われたら、まずは飲酒後に十分な水分摂取を、また普段から喉が乾かないようにこまめに水分摂取を。それでも尿酸が高ければ放置はお勧めしません。痛風発作は痛いし透析は大変ですよ。膝が痛いあなたも、まず尿酸から下げてみてくださいね。
タバコはお金と健康を搾取する巧妙な薬物ビジネス
タバコはなかなか止められませんよね。リスクと知りながら自分で選ぶ、その姿勢はロックでかっこいいのですが、本当にそのリスクを知っているのでしょうか?タバコは覚せい剤と同じで一時の刺激性と中毒性を利用したお金と健康を搾取する(巻き上げる)巧妙なビジネスモデルです。
かつてセブンスターが200円のころ、厚生省(現厚労省)が国民の健康の為にたばこの値段をあげてタバコを吸いにくくしようとしましたが、大蔵省(現財務省)が真っ向から反対しました。タバコの税金が減るからでしょ?さて何かを見落としていませんでしょうか。タバコを吸うと早死にすることがわかっています。仮に7年早く亡くなると平均18万円/月x12ケ月x7年=1512万円の年金を払わなくてすむからです。え、国は国民の健康を祈ってないの?ちょっとおめでたいかもしれませんね。オランダではタバコを吸う人は年金の金額が多いんだそうです、早死にするんだから余計に貰わないと不公平になりますからね、進んだ国です。
CASIOのkeisanというネットのサイトに、タバコを吸っていくつまで生きられるか、という計算ソフトがあります。自分はクリニックオープン時58歳ですが、30本タバコを吸い続けるとどうなるか計算しました。タバコ1本で5分30秒寿命が縮むそうです。仮に平均84歳まで生きられるとして、タバコを吸うと6.6歳早死にで、77.4歳に亡くなるそうです。タバコ代は1383万円でした。寿命ー健康寿命は男性9年と言われますから、68歳まで働ける。あとたった10年。タバコを吸わなければ75歳まで働けますから、あと17年皆様と触れ合うことができます。だから自分は20回ぐらい禁煙に挑戦するほど、タバコの魅力をよく知っていますがもう吸いません。
タバコは早死に薬です。早く死ねたらいいじゃない?とよくおっしゃいますが本当にそうでしょうか。命のリスクの隣に寝たきりのリスクがあるのを見落としていませんか?寝たきりになる主な病気は脳卒中と認知症です。タバコは脳卒中と認知症をいずれも2倍に増やし、5~10年早く来させます。かっこよくタバコを吸っていた方は70~75歳で急に老け込んで、かっこ悪く、ぼけてしまって、見かけなくなってしまうのが現状です。寝たきりの方は表を歩けませんので、ピンとこない方も多いかもしれません。
我々医療人は病棟の隅から隅まで寝たきりの方でいっぱい、それも若い方からお年寄りまで、ご家族が週に一度面会に来たり来なかったり、そして多くの方の意識がしっかりしている事を知っています。自分でない誰かの手を煩わせ、悲しませるリスクを増やす、それがタバコです。もし自分とご家族を心から愛しているなら禁煙をご検討ください。禁煙しないともったいない、タバコ代があれば禁煙できます、お手伝いします。
タバコのリスク まさか肺がんだけだと思ってました?
狭心症心筋梗塞死1.8倍、脳卒中1.8倍、アルツハイマー認知症2.3倍、脳血管認知症2.2倍、肺気腫2.2倍、胃潰瘍1.9倍、慢性腎障害(含む透析)2.0倍
癌:喉頭がん32.5倍、肝臓がん3.1倍、肺がん2.2倍、食道がん2.2倍、すい臓がん1.6倍、膀胱がん1.6倍、胃がん1.4倍
(循環科学7:695,1988 BMJ)
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